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第一節墜落等による危険の防止

(作業床の設置等)
第五百十八条 事業者は、高さが二メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない。  事業者は、前項の規定により作業床を設けることが困難なときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。 第五百十九条 事業者は、高さが二メートル以上の作業床の端、開口部等で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆おおい等(以下この条において「囲い等」という。)を設けなければならない。  事業者は、前項の規定により、囲い等を設けることが著しく困難なとき又は作業の必要上臨時に囲い等を取りはずすときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。 第五百二十条 労働者は、第五百十八条第二項及び前条第二項の場合において、要求性能墜落制止用器具等の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。
(要求性能墜落制止用器具等の取付設備等)
第五百二十一条 事業者は、高さが二メートル以上の箇所で作業を行う場合において、労働者に要求性能墜落制止用器具等を使用させるときは、要求性能墜落制止用器具等を安全に取り付けるための設備等を設けなければならない。  事業者は、労働者に要求性能墜落制止用器具等を使用させるときは、要求性能墜落制止用器具等及びその取付け設備等の異常の有無について、随時点検しなければならない。
(悪天候時の作業禁止)
第五百二十二条 事業者は、高さが二メートル以上の箇所で作業を行う場合において、強風、大雨、大雪等の悪天候のため、当該作業の実施について危険が予想されるときは、当該作業を行わせてはならない。
(照度の保持)
第五百二十三条 事業者は、高さが二メートル以上の箇所で作業を行なうときは、当該作業を安全に行なうため必要な照度を保持しなければならない。
(スレート等の屋根上の危険の防止)
第五百二十四条 事業者は、スレート、木毛板等の材料でふかれた屋根の上で作業を行なう場合において、踏み抜きにより労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、幅が三十センチメートル以上の歩み板を設け、防網を張る等踏み抜きによる労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。
(不用のたて坑等における危険の防止)
第五百二十五条 事業者は、不用のたて坑、坑井又は四十度以上の斜坑には、坑口の閉そくその他墜落による労働者の危険を防止するための設備を設けなければならない。  事業者は、不用の坑道又は坑内採掘跡には、さく、囲いその他通行しや断の設備を設けなければならない。
(昇降するための設備の設置等)
第五百二十六条 事業者は、高さ又は深さが一・五メートルをこえる箇所で作業を行なうときは、当該作業に従事する労働者が安全に昇降するための設備等を設けなければならない。ただし、安全に昇降するための設備等を設けることが作業の性質上著しく困難なときは、この限りでない。  前項の作業に従事する者は、同項本文の規定により安全に昇降するための設備等が設けられたときは、当該設備等を使用しなければならない。
(移動はしご)
第五百二十七条 事業者は、移動はしごについては、次に定めるところに適合したものでなければ使用してはならない。
  •  丈夫な構造とすること。
  •  材料は、著しい損傷、腐食等がないものとすること。
  •  幅は、三十センチメートル以上とすること。
  •  すべり止め装置の取付けその他転位を防止するために必要な措置を講ずること。
(脚立きやたつ)
第五百二十八条 事業者は、脚立きやたつについては、次に定めるところに適合したものでなければ使用してはならない。
  •  丈夫な構造とすること。
  •  材料は、著しい損傷、腐食等がないものとすること。
  •  脚と水平面との角度を七十五度以下とし、かつ、折りたたみ式のものにあつては、脚と水平面との角度を確実に保つための金具等を備えること。
  •  踏み面は、作業を安全に行なうため必要な面積を有すること。
(建築物等の組立て、解体又は変更の作業)
第五百二十九条 事業者は、建築物、橋梁りよう、足場等の組立て、解体又は変更の作業(作業主任者を選任しなければならない作業を除く。)を行なう場合において、墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、次の措置を講じなければならない。
  •  作業を指揮する者を指名して、その者に直接作業を指揮させること。
  •  あらかじめ、作業の方法及び順序を当該作業に従事する労働者に周知させること。
(立入禁止)
第五百三十条 事業者は、墜落により危険を及ぼすおそれのある箇所に関係者以外の者が立ち入ることについて、禁止する旨を見やすい箇所に表示することその他の方法により禁止しなければならない。
(船舶により作業に従事する者を輸送する場合の危険の防止)
第五百三十一条 事業者は、船舶により作業に従事する者を作業を行う場所に輸送するときは、船舶安全法(昭和八年法律第十一号)及び同法に基づく命令の規定に基づいて当該船舶について定められた最大搭載人員を超えて作業に従事する者を乗船させないこと、船舶に浮袋その他の救命具を備えること等当該船舶の転覆若しくは沈没又は作業に従事する者の水中への転落による危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
(救命具等)
第五百三十二条 事業者は、水上の丸太材、網羽あば、いかだ、櫓ろ又は櫂かいを用いて運転する舟等の上で作業を行なう場合において、当該作業に従事する労働者が水中に転落することによりおぼれるおそれのあるときは、当該作業を行なう場所に浮袋その他の救命具を備えること、当該作業を行なう場所の附近に救命のための舟を配置すること等救命のため必要な措置を講じなければならない。
(ホッパー等の内部における作業の制限)
第五百三十二条の二 事業者は、ホッパー又はずりびんの内部その他土砂に埋没すること等により危険を及ぼすおそれがある場所で作業を行うことについて、禁止する旨を見やすい箇所に表示することその他の方法により禁止しなければならない。ただし、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等当該危険を防止するための措置を講じたとき(当該作業の一部を請負人に請け負わせる場合は、当該作業に従事する労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等当該危険を防止するための措置を講じ、かつ、当該請負人に対し、要求性能墜落制止用器具を使用する等当該危険を防止するための措置を講ずる必要がある旨を周知させたとき)は、この限りでない。
(煮沸槽そう等への転落による危険の防止)
第五百三十三条 事業者は、労働者に作業中又は通行の際に転落することにより火傷、窒息等の危険を及ぼすおそれのある煮沸槽そう、ホツパー、ピツト等があるときは、当該危険を防止するため、必要な箇所に高さが七十五センチメートル以上の丈夫なさく等を設けなければならない。ただし、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等転落による労働者の危険を防止するための措置を講じたときは、この限りでない。

第二節飛来崩壊災害による危険の防止

(地山の崩壊等による危険の防止)
第五百三十四条 事業者は、地山の崩壊又は土石の落下により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、当該危険を防止するため、次の措置を講じなければならない。
  •  地山を安全なこう配とし、落下のおそれのある土石を取り除き、又は擁壁、土止め支保工等を設けること。
  •  地山の崩壊又は土石の落下の原因となる雨水、地下水等を排除すること。
(落盤等による危険の防止)
第五百三十五条 事業者は、坑内における落盤、肌はだ落ち又は側壁の崩壊により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、支保工を設け、浮石を取り除く等当該危険を防止するための措置を講じなければならない。
(高所からの物体投下による危険の防止)
第五百三十六条 事業者は、三メートル以上の高所から物体を投下するときは、適当な投下設備を設け、監視人を置く等労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。  労働者は、前項の規定による措置が講じられていないときは、三メートル以上の高所から物体を投下してはならない。
(物体の落下による危険の防止)
第五百三十七条 事業者は、作業のため物体が落下することにより、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、防網の設備を設け、立入区域を設定する等当該危険を防止するための措置を講じなければならない。
(物体の飛来による危険の防止)
第五百三十八条 事業者は、作業のため物体が飛来することにより労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、飛来防止の設備を設け、労働者に保護具を使用させる等当該危険を防止するための措置を講じなければならない。
(保護帽の着用)
第五百三十九条 事業者は、船台の附近、高層建築場等の場所で、その上方において他の労働者が作業を行なつているところにおいて作業を行なうときは、物体の飛来又は落下による労働者の危険を防止するため、当該作業に従事する労働者に保護帽を着用させなければならない。  前項の作業に従事する労働者は、同項の保護帽を着用しなければならない。

第三節ロープ高所作業における危険の防止

(ライフラインの設置)
第五百三十九条の二 事業者は、ロープ高所作業を行うときは、身体保持器具を取り付けたロープ(以下この節において「メインロープ」という。)以外のロープであつて、要求性能墜落制止用器具を取り付けるためのもの(以下この節において「ライフライン」という。)を設けなければならない。
(メインロープ等の強度等)
第五百三十九条の三 事業者は、メインロープ、ライフライン、これらを支持物に緊結するための緊結具、身体保持器具及びこれをメインロープに取り付けるための接続器具(第五百三十九条の五第二項第四号及び第五百三十九条の九において「メインロープ等」という。)については、十分な強度を有するものであつて、著しい損傷、摩耗、変形又は腐食がないものを使用しなければならない。  前項に定めるもののほか、メインロープ、ライフライン及び身体保持器具については、次に定める措置を講じなければならない。
  •  メインロープ及びライフラインは、作業箇所の上方にある堅固な支持物(以下この節において「支持物」という。)に緊結すること。この場合において、メインロープ及びライフラインは、それぞれ異なる支持物に、外れないように確実に緊結すること。
  •  メインロープ及びライフラインは、ロープ高所作業に従事する労働者が安全に昇降するため十分な長さのものとすること。
  •  突起物のある箇所その他の接触することによりメインロープ又はライフラインが切断するおそれのある箇所(次条第四号及び第五百三十九条の五第二項第六号において「切断のおそれのある箇所」という。)に覆いを設ける等これらの切断を防止するための措置(同号において「切断防止措置」という。)を講ずること。
  •  身体保持器具は、メインロープに接続器具(第一項の接続器具をいう。)を用いて確実に取り付けること。
(調査及び記録)
第五百三十九条の四 事業者は、ロープ高所作業を行うときは、墜落又は物体の落下による労働者の危険を防止するため、あらかじめ、当該作業に係る場所について次の事項を調査し、その結果を記録しておかなければならない。
  •  作業箇所及びその下方の状況
  •  メインロープ及びライフラインを緊結するためのそれぞれの支持物の位置及び状態並びにそれらの周囲の状況
  •  作業箇所及び前号の支持物に通ずる通路の状況
  •  切断のおそれのある箇所の有無並びにその位置及び状態
(作業計画)
第五百三十九条の五 事業者は、ロープ高所作業を行うときは、あらかじめ、前条の規定による調査により知り得たところに適応する作業計画を定め、かつ、当該作業計画により作業を行わなければならない。  前項の作業計画は、次の事項が示されているものでなければならない。
  •  作業の方法及び順序
  •  作業に従事する労働者の人数
  •  メインロープ及びライフラインを緊結するためのそれぞれの支持物の位置
  •  使用するメインロープ等の種類及び強度
  •  使用するメインロープ及びライフラインの長さ
  •  切断のおそれのある箇所及び切断防止措置
  •  メインロープ及びライフラインを支持物に緊結する作業に従事する労働者の墜落による危険を防止するための措置
  •  物体の落下による労働者の危険を防止するための措置
  •  労働災害が発生した場合の応急の措置
 事業者は、第一項の作業計画を定めたときは、前項各号の事項について関係労働者に周知させなければならない。
(作業指揮者)
第五百三十九条の六 事業者は、ロープ高所作業を行うときは、当該作業を指揮する者を定め、その者に前条第一項の作業計画に基づき作業の指揮を行わせるとともに、次の事項を行わせなければならない。
  •  第五百三十九条の三第二項の措置が同項の規定に適合して講じられているかどうかについて点検すること。
  •  作業中、要求性能墜落制止用器具及び保護帽の使用状況を監視すること。
(要求性能墜落制止用器具の使用)
第五百三十九条の七 事業者は、ロープ高所作業を行うときは、当該作業を行う労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させなければならない。  前項の要求性能墜落制止用器具は、ライフラインに取り付けなければならない。  労働者は、第一項の場合において、要求性能墜落制止用器具の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。
(保護帽の着用)
第五百三十九条の八 事業者は、ロープ高所作業を行うときは、物体の落下による労働者の危険を防止するため、労働者に保護帽を着用させなければならない。  労働者は、前項の保護帽の着用を命じられたときは、これを着用しなければならない。
(作業開始前点検)
第五百三十九条の九 事業者は、ロープ高所作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、メインロープ等、要求性能墜落制止用器具及び保護帽の状態について点検し、異常を認めたときは、直ちに、補修し、又は取り替えなければならない。