(目的)
第一条 この法律は、原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)の精神にのつとり、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の利用が平和の目的に限られることを確保するとともに、原子力施設において重大な事故が生じた場合に放射性物質が異常な水準で当該原子力施設を設置する工場又は事業所の外へ放出されることその他の核原料物質、核燃料物質及び原子炉による災害を防止し、及び核燃料物質を防護して、公共の安全を図るために、製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業並びに原子炉の設置及び運転等に関し、大規模な自然災害及びテロリズムその他の犯罪行為の発生も想定した必要な規制を行うほか、原子力の研究、開発及び利用に関する条約その他の国際約束を実施するために、国際規制物資の使用等に関する必要な規制を行い、もつて国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「原子力」とは、原子力基本法第三条第一号に規定する原子力をいう。
2 この法律において「核燃料物質」とは、原子力基本法第三条第二号に規定する核燃料物質をいう。
3 この法律において「核原料物質」とは、原子力基本法第三条第三号に規定する核原料物質をいう。
4 この法律において「原子炉」とは、原子力基本法第三条第四号に規定する原子炉をいう。
5 この法律において「発電用原子炉」とは、発電の用に供する原子炉であつて研究開発段階にあるものとして政令で定める原子炉以外の試験研究の用に供する原子炉及び船舶に設置する原子炉を除くものをいう。
6 この法律において「特定核燃料物質」とは、プルトニウム(プルトニウム二三八の同位体濃度が百分の八十を超えるものを除く。)、ウラン二三三、ウラン二三五のウラン二三八に対する比率が天然の混合率を超えるウランその他の政令で定める核燃料物質をいう。
7 この法律において「原子力施設」とは、次条第二項第二号に規定する製錬施設、第十三条第二項第二号に規定する加工施設、第二十三条第二項第五号に規定する試験研究用等原子炉施設、第四十三条の三の五第二項第五号に規定する発電用原子炉施設、第四十三条の四第二項第二号に規定する使用済燃料貯蔵施設、第四十四条第二項第二号に規定する再処理施設、第五十一条の二第二項に規定する廃棄物埋設施設及び同条第三項第二号に規定する廃棄物管理施設並びに第五十二条第二項第十号に規定する使用施設等をいう。
8 この法律において「製錬」とは、核原料物質又は核燃料物質に含まれるウラン又はトリウムの比率を高めるために、核原料物質又は核燃料物質を化学的方法により処理することをいう。
9 この法律において「加工」とは、核燃料物質を原子炉に燃料として使用できる形状又は組成とするために、これを物理的又は化学的方法により処理することをいう。
10 この法律において「再処理」とは、原子炉に燃料として使用した核燃料物質その他原子核分裂をさせた核燃料物質(以下「使用済燃料」という。)から核燃料物質その他の有用物質を分離するために、使用済燃料を化学的方法により処理することをいう。
11 この法律において「原子力規制検査」とは、第六十一条の二の二第一項の規定により、原子力規制委員会が行う検査をいう。
12 この法律において「国際規制物資」とは、核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定の実施に関する日本国政府と国際原子力機関との間の協定(以下「保障措置協定」という。)その他日本国政府と一の外国政府(国際機関を含む。)との間の原子力の研究、開発及び利用に関する国際約束(核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定の実施に関する日本国政府と国際原子力機関との間の協定の追加議定書(以下単に「追加議定書」という。)を除く。以下単に「国際約束」という。)に基づく保障措置の適用その他の規制を受ける核原料物質、核燃料物質、原子炉その他の資材又は設備をいう。
13 前項の国際規制物資は、原子力規制委員会が告示する。
14 この法律において「国際特定活動」とは、追加議定書附属書Ⅰに掲げる活動をいう。