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(目的)
第一条 この法律は、原子力災害の特殊性にかんがみ、原子力災害の予防に関する原子力事業者の義務等、原子力緊急事態宣言の発出及び原子力災害対策本部の設置等並びに緊急事態応急対策の実施その他原子力災害に関する事項について特別の措置を定めることにより、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「規制法」という。)、災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)その他原子力災害の防止に関する法律と相まって、原子力災害に対する対策の強化を図り、もって原子力災害から国民の生命、身体及び財産を保護することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
  •  原子力災害
    • 原子力災害 → 原子力緊急事態により国民の生命、身体又は財産に生ずる被害をいう。
  •  原子力緊急事態
    • 原子力緊急事態 → 原子力事業者の原子炉の運転等(原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)第二条第一項に規定する原子炉の運転等をいう。以下同じ。)により放射性物質又は放射線が異常な水準で当該原子力事業者の原子力事業所外(原子力事業所の外における放射性物質の運搬(以下「事業所外運搬」という。)の場合にあっては、当該運搬に使用する容器外)へ放出された事態をいう。
  •  原子力事業者
    • 原子力事業者 → 次に掲げる者(政令で定めるところにより、原子炉の運転等のための施設を長期間にわたって使用する予定がない者であると原子力規制委員会が認めて指定した者を除く。)をいう。
    •  規制法第十三条第一項の規定に基づく加工の事業の許可(規制法第七十六条の規定により読み替えて適用される同項の規定による国に対する承認を含む。)を受けた者
    •  規制法第二十三条第一項の規定に基づく試験研究用等原子炉の設置の許可(規制法第七十六条の規定により読み替えて適用される同項の規定による国に対する承認を含み、船舶に設置する試験研究用等原子炉についての許可を除く。)を受けた者
    •  規制法第四十三条の三の五第一項の規定に基づく発電用原子炉の設置の許可(規制法第七十六条の規定により読み替えて適用される同項の規定による国に対する承認を含む。)を受けた者
    •  規制法第四十三条の四第一項の規定に基づく貯蔵の事業の許可(規制法第七十六条の規定により読み替えて適用される同項の規定による国に対する承認を含む。)を受けた者
    •  規制法第四十四条第一項の規定に基づく再処理の事業の指定(規制法第七十六条の規定により読み替えて適用される同項の規定による国に対する承認を含む。)を受けた者
    •  規制法第五十一条の二第一項の規定に基づく廃棄の事業の許可(規制法第七十六条の規定により読み替えて適用される同項の規定による国に対する承認を含む。)を受けた者
    •  規制法第五十二条第一項の規定に基づく核燃料物質の使用の許可(規制法第七十六条の規定により読み替えて適用される同項の規定による国に対する承認を含む。)を受けた者(規制法第五十七条第一項の規定により保安規定を定めなければならないこととされている者に限る。)
  •  原子力事業所
    • 原子力事業所 → 原子力事業者が原子炉の運転等を行う工場又は事業所をいう。
  •  緊急事態応急対策
    • 緊急事態応急対策 → 第十五条第二項の規定による原子力緊急事態宣言があった時から同条第四項の規定による原子力緊急事態解除宣言があるまでの間において、原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然性を含む。)の拡大の防止を図るため実施すべき応急の対策をいう。
  •  原子力災害予防対策
    • 原子力災害予防対策 → 原子力災害の発生を未然に防止するため実施すべき対策をいう。
  •  原子力災害事後対策
    • 原子力災害事後対策 → 第十五条第四項の規定による原子力緊急事態解除宣言があった時以後において、原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然性を含む。)の拡大の防止又は原子力災害の復旧を図るため実施すべき対策(原子力事業者が原子力損害の賠償に関する法律の規定に基づき同法第二条第二項に規定する原子力損害を賠償することを除く。)をいう。
  •  指定行政機関
    • 指定行政機関 → 災害対策基本法第二条第三号に規定する指定行政機関をいう。
  •  指定地方行政機関
    • 指定地方行政機関 → 災害対策基本法第二条第四号に規定する指定地方行政機関をいう。
  •  指定公共機関
    • 指定公共機関 → 災害対策基本法第二条第五号に規定する指定公共機関をいう。
  • 十一 指定地方公共機関
    • 指定地方公共機関 → 災害対策基本法第二条第六号に規定する指定地方公共機関をいう。
  • 十二 防災計画
    • 防災計画 → 災害対策基本法第二条第七号に規定する防災計画及び石油コンビナート等災害防止法(昭和五十年法律第八十四号)第三十一条第一項に規定する石油コンビナート等防災計画をいう。
(原子力事業者の責務)
第三条 原子力事業者は、この法律又は関係法律の規定に基づき、原子力災害の発生の防止に関し万全の措置を講ずるとともに、原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然性を含む。)の拡大の防止及び原子力災害の復旧に関し、誠意をもって必要な措置を講ずる責務を有する。
(国の責務)
第四条 国は、この法律又は関係法律の規定に基づき、原子力災害対策本部の設置、地方公共団体への必要な指示その他緊急事態応急対策の実施のために必要な措置並びに原子力災害予防対策及び原子力災害事後対策の実施のために必要な措置を講ずること等により、原子力災害についての災害対策基本法第三条第一項の責務を遂行しなければならない。  指定行政機関の長(当該指定行政機関が委員会その他の合議制の機関である場合にあっては、当該指定行政機関。第十七条第七項第三号を除き、以下同じ。)及び指定地方行政機関の長は、この法律の規定による地方公共団体の原子力災害予防対策、緊急事態応急対策及び原子力災害事後対策の実施が円滑に行われるように、その所掌事務について、当該地方公共団体に対し、勧告し、助言し、その他適切な措置をとらなければならない。  内閣総理大臣及び原子力規制委員会は、この法律の規定による権限を適切に行使するほか、この法律の規定による原子力事業者の原子力災害予防対策、緊急事態応急対策及び原子力災害事後対策の実施が円滑に行われるように、当該原子力事業者に対し、指導し、助言し、その他適切な措置をとらなければならない。 第四条の二 国は、大規模な自然災害及びテロリズムその他の犯罪行為による原子力災害の発生も想定し、これに伴う被害の最小化を図る観点から、警備体制の強化、原子力事業所における深層防護の徹底、被害の状況に応じた対応策の整備その他原子力災害の防止に関し万全の措置を講ずる責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第五条 地方公共団体は、この法律又は関係法律の規定に基づき、原子力災害予防対策、緊急事態応急対策及び原子力災害事後対策の実施のために必要な措置を講ずること等により、原子力災害についての災害対策基本法第四条第一項及び第五条第一項の責務を遂行しなければならない。
(関係機関の連携協力)
第六条 国、地方公共団体、原子力事業者並びに指定公共機関及び指定地方公共機関は、原子力災害予防対策、緊急事態応急対策及び原子力災害事後対策が円滑に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。