(原子力事業者防災業務計画)
第七条 原子力事業者は、その原子力事業所ごとに、内閣府令・原子力規制委員会規則で定めるところにより、当該原子力事業所における原子力災害予防対策、緊急事態応急対策及び原子力災害事後対策その他の原子力災害の発生及び拡大を防止し、並びに原子力災害の復旧を図るために必要な業務に関し、原子力事業者防災業務計画を作成し、及び毎年原子力事業者防災業務計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならない。この場合において、当該原子力事業者防災業務計画は、災害対策基本法第二条第十号に規定する地域防災計画及び石油コンビナート等災害防止法第三十一条第一項に規定する石油コンビナート等防災計画(次項において「地域防災計画等」という。)に抵触するものであってはならない。 2 原子力事業者は、前項の規定により原子力事業者防災業務計画を作成し、又は修正しようとするときは、政令で定めるところにより、あらかじめ、当該原子力事業所の区域を管轄する都道府県知事(以下「所在都道府県知事」という。)、当該原子力事業所の区域を管轄する市町村長(以下「所在市町村長」という。)並びに当該原子力事業所の区域をその区域に含む市町村に隣接する市町村を包括する都道府県及びこれに準ずるものとして政令で定める要件に該当する都道府県の都道府県知事(所在都道府県知事を除く。以下「関係周辺都道府県知事」という。)に協議しなければならない。この場合において、所在都道府県知事及び関係周辺都道府県知事は、関係周辺市町村長(その区域につき当該原子力事業所に係る原子力災害に関する地域防災計画等(災害対策基本法第二条第十号イ又はハに掲げるものを除く。)が作成されていることその他の政令で定める要件に該当する市町村の市町村長(所在市町村長を除く。)をいう。以下同じ。)の意見を聴くものとする。 3 原子力事業者は、第一項の規定により原子力事業者防災業務計画を作成し、又は修正したときは、速やかにこれを内閣総理大臣及び原子力規制委員会に届け出るとともに、その要旨を公表しなければならない。 4 内閣総理大臣及び原子力規制委員会は、原子力事業者が第一項の規定に違反していると認めるとき、又は原子力事業者防災業務計画が当該原子力事業所に係る原子力災害の発生若しくは拡大を防止するために十分でないと認めるときは、原子力事業者に対し、原子力事業者防災業務計画の作成又は修正を命ずることができる。(原子力防災組織)
第八条 原子力事業者は、その原子力事業所ごとに、原子力防災組織を設置しなければならない。 2 原子力防災組織は、前条第一項の原子力事業者防災業務計画に従い、同項に規定する原子力災害の発生又は拡大を防止するために必要な業務を行う。 3 原子力事業者は、その原子力防災組織に、原子力規制委員会規則で定めるところにより、前項に規定する業務に従事する原子力防災要員を置かなければならない。 4 原子力事業者は、その原子力防災組織の原子力防災要員を置いたときは、原子力規制委員会規則で定めるところにより、その現況について、原子力規制委員会、所在都道府県知事、所在市町村長及び関係周辺都道府県知事に届け出なければならない。この場合において、原子力規制委員会は内閣総理大臣に、所在都道府県知事及び関係周辺都道府県知事は関係周辺市町村長に、当該届出に係る書類の写しを送付するものとする。 5 原子力規制委員会は、原子力事業者が第一項又は第三項の規定に違反していると認めるときは、当該原子力事業者に対し、原子力防災組織の設置又は原子力防災要員の配置を命ずることができる。(原子力防災管理者)
第九条 原子力事業者は、その原子力事業所ごとに、原子力防災管理者を選任し、原子力防災組織を統括させなければならない。 2 原子力防災管理者は、当該原子力事業所においてその事業の実施を統括管理する者をもって充てなければならない。 3 原子力事業者は、当該原子力事業所における原子力災害の発生又は拡大の防止に関する業務を適切に遂行することができる管理的又は監督的地位にある者のうちから、副原子力防災管理者を選任し、原子力防災組織の統括について、原子力防災管理者を補佐させなければならない。 4 原子力事業者は、原子力防災管理者が当該原子力事業所内にいないときは、副原子力防災管理者に原子力防災組織を統括させなければならない。 5 原子力事業者は、第一項又は第三項の規定により原子力防災管理者又は副原子力防災管理者を選任したときは、原子力規制委員会規則で定めるところにより、遅滞なく、その旨を原子力規制委員会、所在都道府県知事、所在市町村長及び関係周辺都道府県知事に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。この場合において、原子力規制委員会は、内閣総理大臣に当該届出に係る書類の写しを送付するものとする。 6 前条第四項後段の規定は、前項の届出について準用する。 7 原子力規制委員会は、原子力事業者が第一項若しくは第三項の規定に違反していると認めるとき、又は原子力防災管理者若しくは副原子力防災管理者がこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定に違反したときは、原子力事業者に対し、原子力防災管理者又は副原子力防災管理者の選任又は解任を命ずることができる。(原子力防災管理者の通報義務等)
第十条 原子力防災管理者は、原子力事業所の区域の境界付近において政令で定める基準以上の放射線量が政令で定めるところにより検出されたことその他の政令で定める事象の発生について通報を受け、又は自ら発見したときは、直ちに、内閣府令・原子力規制委員会規則(事業所外運搬に係る事象の発生の場合にあっては、内閣府令・原子力規制委員会規則・国土交通省令)及び原子力事業者防災業務計画の定めるところにより、その旨を内閣総理大臣及び原子力規制委員会、所在都道府県知事、所在市町村長並びに関係周辺都道府県知事(事業所外運搬に係る事象の発生の場合にあっては、内閣総理大臣、原子力規制委員会及び国土交通大臣並びに当該事象が発生した場所を管轄する都道府県知事及び市町村長)に通報しなければならない。この場合において、所在都道府県知事及び関係周辺都道府県知事は、関係周辺市町村長にその旨を通報するものとする。 2 前項前段の規定により通報を受けた都道府県知事又は市町村長は、政令で定めるところにより、内閣総理大臣及び原子力規制委員会(事業所外運搬に係る事象の発生の場合にあっては、内閣総理大臣、原子力規制委員会及び国土交通大臣。以下この項及び第十五条第一項第一号において同じ。)に対し、その事態の把握のため専門的知識を有する職員の派遣を要請することができる。この場合において、内閣総理大臣及び原子力規制委員会は、適任と認める職員を派遣しなければならない。(放射線測定設備その他の必要な資機材の整備等)
第十一条 原子力事業者は、原子力規制委員会規則で定める基準に従って、その原子力事業所内に前条第一項前段の規定による通報を行うために必要な放射線測定設備を設置し、及び維持しなければならない。 2 原子力事業者は、その原子力防災組織に、当該原子力防災組織がその業務を行うために必要な放射線障害防護用器具、非常用通信機器その他の資材又は機材であって内閣府令・原子力規制委員会規則で定めるもの(以下「原子力防災資機材」という。)を備え付け、随時、これを保守点検しなければならない。 3 原子力事業者は、第一項の規定により放射線測定設備を設置し、又は前項の規定により原子力防災資機材を備え付けたときは、内閣府令・原子力規制委員会規則で定めるところにより、これらの現況について、内閣総理大臣及び原子力規制委員会、所在都道府県知事、所在市町村長並びに関係周辺都道府県知事に届け出なければならない。 4 第八条第四項後段の規定は、前項の届出について準用する。 5 原子力事業者は、第一項の規定により放射線測定設備を設置したときは、原子力規制委員会規則で定めるところにより、その性能について原子力規制委員会が行う検査を受けなければならない。 6 内閣総理大臣及び原子力規制委員会は、原子力事業者が第一項又は第二項の規定に違反していると認めるときは、当該原子力事業者に対し、放射線測定設備の設置、維持、若しくは改善又は原子力防災資機材の備え付け若しくは保守点検のために必要な措置を命ずることができる。 7 原子力事業者は、原子力規制委員会規則で定めるところにより、第一項の放射線測定設備により検出された放射線量の数値を記録し、及び公表しなければならない。(緊急事態応急対策等拠点施設の指定等)
第十二条 内閣総理大臣は、原子力事業所ごとに、第二十六条第二項に規定する者による緊急事態応急対策の拠点及び第二十七条第二項に規定する者による原子力災害事後対策の拠点となる施設であって当該原子力事業所の区域をその区域に含む都道府県の区域内にあることその他内閣府令で定める要件に該当するもの(以下「緊急事態応急対策等拠点施設」という。)を指定するものとする。 2 内閣総理大臣は、緊急事態応急対策等拠点施設を指定し、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、原子力規制委員会、所在都道府県知事、所在市町村長及び当該緊急事態応急対策等拠点施設の所在地を管轄する市町村長(所在市町村長を除く。)並びに当該緊急事態応急対策等拠点施設に係る原子力事業者の意見を聴かなければならない。 3 第一項の指定又は指定の変更は、官報に告示してしなければならない。 4 原子力事業者は、第一項の指定があった場合には、当該緊急事態応急対策等拠点施設において第二十六条第二項に規定する者が当該原子力事業所に係る緊急事態応急対策を講ずるに際して必要となる資料として内閣府令で定めるもの及び第二十七条第二項に規定する者が当該原子力事業所に係る原子力災害事後対策を講ずるに際して必要となる資料として内閣府令で定めるものを内閣総理大臣に提出しなければならない。提出した資料の内容に変更があったときも、同様とする。 5 内閣総理大臣は、前項の規定により提出された資料を当該緊急事態応急対策等拠点施設に備え付けるものとする。 6 内閣総理大臣は、第一項及び第四項の内閣府令の制定又は改廃をしようとするときは、あらかじめ、原子力規制委員会の意見を聴かなければならない。(防災訓練に関する国の計画)
第十三条 第二十八条第一項の規定により読み替えて適用される災害対策基本法第四十八条第一項の防災訓練(同項に規定する災害予防責任者が防災計画又は原子力事業者防災業務計画の定めるところによりそれぞれ行うものを除く。)は、内閣総理大臣が内閣府令で定めるところにより作成する計画に基づいて行うものとする。 2 前項の規定により作成する計画は、防災訓練の実施のための事項であって次に掲げるものを含むものとする。- 一 原子力緊急事態の想定に関すること。
- 二 第十条、第十五条及び第二十三条の規定の運用に関すること。
- 三 前二号に掲げるもののほか、原子力災害予防対策の実施を図るため必要な事項